騎手買いを極める!!ディープインパクト観戦記

ディープインパクト観戦記


大学に入学して間もなかった4月。田舎から出てきて千葉というそれなりの都会での初めての一人暮らし。
大学でのサークル選びや初めての講義。まだまだ初々しい大学生であった僕なのだが、
3週間目にはディープインパクトを見に中山競馬場に行っていた。
本命はデムーロの乗ったヴァーミリアン。前年にダイワメジャーであっと言わせた彼なら・・・と、その頃から騎手買いをしていた。
しかし結果は見事な差し切り勝ち。
そこで、最後の直線で他馬がとまって見えるほどの豪脚に魅せられてしまった僕は、5月、府中へと出向いた。

14万人を超える人であふれかえったスタンドの中で本命はディープインパクト。結果は期待通りの1着。
飛んでいると表現するほどの脚。僕は三冠達成を確信した。

10月。前哨戦である神戸新聞杯を快勝し菊花賞へと挑むディープを見るため、いや歴史的瞬間をこの目で見るため、
僕は品川駅から夜行バスで京都へと旅立った。
朝8時、開門を待ちきれないファンの列はすでに1万人を超えていた。8時20分開門。
開門と同時に走り出すファン。みなが目指すのはゴール板前。少しおくれをとった僕も負けじと走った。
そのかいあって、ゴール板前2,3mのところに陣取ることができた。
それから7時間、ぱらぱらと降る雨の中僕はその場を死守し続けた。15時20分本馬場入場とともに大歓声が巻き起こる。
それから20分後の15時40分、京都競馬場にGIのファンファーレが鳴り響いた!そして発走。
1週目をかかり気味に走るディープであったが、勝つと信じていた。
第4コーナーを曲がり最後の直線に入るとディープはその豪脚を爆発させた。
逃げるアドマイヤジャパンをかわすとぐいぐいと引き離しての1着。
僕は歴史的瞬間を目の当たりし、声を上げ、飛び上がった。胸がドキドキしていた。とにかく僕は来てよかったと思った。
巻き起こるディープコール。競馬場の誰もが勝利を祝福していた。
         
三冠を達成したディープインパクトは12月25日クリスマス、中山競馬場で行われた有馬記念に挑んだ。
初めての古馬との対決にもかかわらず、単勝支持率は1,3倍の1番人気。
ディープの四冠目を見ようと中山競馬場に訪れた人の数は16万人。そのほとんどがディープの勝利を確信していたことだろう。
僕もその一人だった。  
  午後3時前、ディープのパドックでの様子がターフビジョンに映し出されるとスタンドは歓声に包まれた。
パドックでのディープは落ち着き払っていて、入れ込んでいる様子はまったくなかった。
落ち着き払った様子のまま、ディープは本馬場に入場してきた。鞍上の武豊も、この日はリラックスしていた。
15時25分、スターターが台に上がり旗を振る。ファンファーレがクリスマスの中山に響き渡り、大歓声が起こる。
各馬がゲートインし、発走。前走菊花賞同様、この日もディープのスタートはよかった。
ただ、菊花賞のように入れ込んで行きたがるのを避けようとしてか、武豊はわざとディープを中断より後ろにつけた。
武豊は直線で他馬を差しきる自信があったのだろう。
いつものように後ろで競馬をしつつ、第3コーナーから徐々にディープは進出してきた。
第4コーナーで前が開き、僕は「勝てる!」と思った。
しかし、この日のディープはいつもと違い、今まで他馬を蹴散らしてきた末脚が不発だった。
逃げるルメール騎乗のハーツクライを猛追するも、届かず2着。
この瞬間、中山競馬場が凍りついた。しばらくの沈黙の後は、ため息や泣き声が聞こえだした。僕は呆然として突っ立っていた…。



この文章は当時所属していたサークルの文集に載せた文章をほぼ原文のまま掲載したものです。
今思えば、千葉から京都へたかだか馬1頭のため、しかしディープインパクトは別格だったのだなぁと今でも思います。
あれから早5年、今ではディープインパクトの子供たちがデビューし新たな競馬の1ページを作っています。
好きだった馬の子供をまた好きになる・・・競馬ってロマンですね。


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